国内外のアーティストやデザイナーなどに人気が高く、ずっと気になっていた野外レイヴrural。子連れでは少々ハードルが高いのでは…と懸念がありつつも、年々ファミリー層が増え、キッズエリアも設置されているとのだとか。2018年7月14日~16日に開催され、今年で10周年という記念すべき回である『rural2018』に、思い切って家族で遊びに行きました。
ロケーション最高な会場、内山牧場キャンプ場
photo by Yumiya Saiki
初日は朝早く出発したものの渋滞に巻き込まれてしまい、会場に到着したのが夕方に。急いでテントを張り、トイレなどの場所をチェックしつつ、メインフロアに行き着いた頃には辺りはだいぶ暗くなっていました。
photo by Yumiya Saiki
ライトアップされた会場のデコレーションをうっとりと眺め、鳴り止まぬフロアの音に夫と私はうずうずしながらも、翌日に備えて早めに就寝!
会場の周りを探検!
INDOOR STAGEは最終日の早朝まで24時間ずっと音が鳴り続けているというストイックさ。まだ踊っている人、これから寝ようとさまよう人の姿を横目に、早寝早起きで少々ヘルシーすぎる体を持て余した私たちは、会場の周りを散策することに。娘はすっかり乗り慣れたストライダーにまたがり、昨晩フロアで発散しきった体をだるそうに引きずる大人たちの間を颯爽と走り抜けます。
会場の入り口を出て駐車場の横を上っていくと、宿泊施設あらふね山荘にぶつかりました。ここは来場者が宿泊ができる他、キャンプをしている人たちも入浴ができます。しかも、明け方の清掃時間を除きほぼ24時間営業。会場内にコインシャワーはありましたが、やはりコヅレには浴槽付きのお風呂があるのは心強いです。
下を見下ろすと、あらふね湖のほとりでヨガをやっている人たちの姿が。私たちと同じくヘルシー志向の来場者向けに、2日目の朝と夕方の2回、ヨガのワークショップを開催している様子。料金はドネーション(寄付)制とのこと。清々しい朝の湖畔で大地の鼓動を感じながら自身もゆっくりと呼吸し、身体を伸ばす。日常のもやもやを忘れ、心身共に解放される瞬間です。
AM 9:00。この時間でもうだいぶ日差しが強くなってきました。今年は異例の酷暑でしたが、会場となっている内山牧場キャンプ場は標高が高いので、日中はかなりの暑さが予想されます。
あらふね湖を背にしてさらに上っていくと、大コスモス園にたどり着きました。見頃の9月〜10月になると、ここ一帯は100万本ものコスモス絨毯が眺められるのだそう。7月中旬のこの時期は、瑞々しいライトグリーンの絨毯でした。
ゆるりと過ごすモーニングタイム
さらに小道を歩いていくと、メインステージであるOPEN AIR STAGEエリアに到着。フードや雑貨屋などの出店もここに集まっています。一時間半ほどかけて会場付近を一周してきた私たちは、汗だくに。芝生に腰を下ろして水分補給しながら、オープン前にサウンドチェックするDJと、何やら作戦会議をしている小学生くらいのキッズたちを眺めます。鬼ごっこでも始まるのかな….
フード出店にはカレー、うどん、ピザ、ベジタリアンフード…多国籍なメニューが揃っていましたが、中でも一番人気はタイ風焼き鳥、“ガイヤーン”。昨夜も夕食を物色しに来たらここだけ列ができており、我が家も並んでガイヤーンとガパオをゲット。タイ料理って日本人だけでなく欧米人にも人気なんですよね〜。特に暑いときに食べたくなるから不思議です。普段はスパイシーな食べ物を嫌がる娘も雰囲気に後押しされたのか、夫から奪うようにガツガツ食べていました。
女の子が好きそうな雑貨やアクセサリーが並ぶお店に吸い込まれる娘。ピンクのお花の付いたヘアゴムを買い、腕につけてあげました。山の中で映えるカラフルなお洋服やヘアアクセサリーで、ruralガールに変身できるかしら?
キッズエリアで一休み
早めの昼食を終え、夕方からの活動に備えて子どもをお昼寝させておきたいところ。しかし、およそ気温36℃の中、さすがにテントでは安眠できません。そこであらふね山荘内にキッズエリアがあるとのことを思い出し、行ってみることにします。
あらふね山荘受付けの女性に「まだスタッフは来ていませんが使っていいですよ〜」と売店の横、カーテンで仕切られている奥を案内され入ってみると…..ありました!
食堂の一角に簡易マットとシートを敷いただけのスペースですが、ブロックなどのおもちゃや、組み立て式のテーブルに画用紙と色えんぴつのお絵かきセットが用意されていました。都内の商業施設では狭いスペースのキッズエリアに小さな子どもたちがごった返し、そうそうゆっくり過ごせませんが、ここの先客はまだ一組のみ。外界の強烈な日差しとエッジィなサウンドとは相対して、柔らかな風が流れ込む山荘の窓辺…. 夏休み、田舎の親戚宅に遊びにきたかのようなゆるやかな一時を過ごしました。
娘もひんやりマットの上が気持ちよかったのか、おもわずごろり。
少々蒸し暑くお昼寝はしてくれませんでしたが、母子共に一休みできたところで、はぐれてしまった夫を探しにキャンプサイトへ。途中、自分たちのテント近くに本格的なカレー屋とシーシャ(水タバコ)屋、移動図書館「PARADICE BOOKS」が並んでいるのを発見。PARADICE BOOKSはセンスの良い洋書や雑誌、子ども向けの絵本や文庫が置かれていて、身体や頭をゆる〜くチルアウトさせたい今の私たちには、まさにパラダイス! 娘も小さなしかけ絵本シリーズに夢中でした。
パーティータイムの始まり
ソフトクリームを食べたり、水を浴びたりしてなんとか暑さを凌ぎ、ようやく夕暮れ。日が傾くと山中の風が心地良く、かなり過ごしやすくなります。PM5:00近くになると、OPEN AIR STAGEのフロアにもだいぶ人が集まってきました。
爆音から子どもの耳を守るイヤーマフを忘れてしまい、急遽会場付近のホームセンターで専用の耳せんを購入。子ども用ではありませんが、意外にすっぽりとハマりました。ないよりはマシ….なレベルですので、やはりイヤーマフの用意をおすすめします。
キッズスペースには娘と同い年くらいの子どもの姿がほとんど見られませんでしたが、この時間になるとどこからともなくパパやママに連れられた小さな子どもたちが現れはじめました。
先ほどキッズスペースできれいな色の折り紙をくれた女の子。パパとママに囲まれ、真剣な表情でDJプレイに聴き入っています。(かかっていたのは、大人っぽいダンスミュージックでした!)
やはり、イヤーマフはコヅレにとって必須アイテム。(家電量販店でも取り扱いがなかったりするので、ネットで探すのがスムーズです)
イヤーマフ着用を嫌がる男の子。「お友達もしてるよ?かっこいいよ?」と声をかけてその気にさせる作戦で挑むママ。子どもにとって耳がずっと塞がれているのは苦痛なので、イヤーマフをしたがらないときはなるべくスピーカーから離れ、適度な音量で楽しめる場所を探すことも一案。
PM6:00~7:00の間が、コヅレにとって最高のハッピーアワー。空がオレンジ色に染まり、フロアにいる人々の顔が黄金色に照らされると、暑さで眉間にシワが寄っていた険しい表情も和らぎ、疲れが爆音と共に飛ばされていきます。
大人も子ども垣根なく自由に走り回り、水鉄砲から放たれた水しぶきとシャボン玉、笑い声が電子音と溶け合って“rural sunset”の情景を作り出していました。
メインフロアで踊る子どもたち。ダンスミュージックの特徴的な「ドン・ドン・ドン・ドン」という“四つ打ち”は、人間が軽くジョギングしたときの心臓の鼓動に似ていると言われていますが、胎内にいたときママの心音を聞いていたのを覚えている小さな子どもにとっては、もしかしたら心地よいビートなのかもしれません。
PM7:00。早起きしすぎた夫は芝生で寝てしまい、「ママ、だっこ!」とねだる娘をおんぶしながら踊る私。これからが本番、大人たちの“rural night”はコヅレの自分たちにはまだまだ数年先までお預けかなー…と思いつつ、まずは今年、家族でruralに参加できたことが第一歩。次回はお友達の家族と一緒に来て子どもたちを寝かしつけたあと、「ママタイム」「パパタイム」または「夫婦タイム」を決めて順番に“rural night”を楽しむという方法もアリかもしれませんね!
(Text&Edit:Nao Asakura)
(Photo:marcy)
※アイキャッチ画像提供:Yumiya Saiki