昼間は暖かくて過ごしやすい日でも、朝晩の冷え込みが少しずつ厳しくなってくる秋冬。
この時期は空気が乾燥してくるため、ウイルスの動きが活発になります。さらにクリスマスやお正月などの行事も多くなり、ママも赤ちゃんも生活リズムが乱れがちになるため、感染症にかかるリスクも増える傾向に…。

そこでこの秋冬を元気に過ごすための方法として、今、注目されているのが、アロマセラピーを活用したケア方法です。なぜ感染症対策でアロマが使われるのか、症状別のおすすめの精油や使い方などを、1児の母でもあるアロマセラピストの松尾哲子先生のアドバイスを元にご紹介します。
(上記写真はイメージです。精油の瓶のふたは開けっぱなしにせず必ず閉栓してください)

アロマで感染症対策ができる理由

アロマセラピーと聞くと「香りを楽しむ」「においを嗅ぐとリラックスできる」という印象を持つママも多いのではないでしょうか。
アロマセラピーで使われる精油は、植物の花や葉、根、種子から抽出されたもの。心を癒す効果はもちろん、体や心のトラブルに働きかけるさまざまなパワーがあるといわれています。
精油を購入される際には、見た目に精油によく似た合成オイル等の商品にお気をつけください。アロマセラピーでお使いになる精油は、必ず「100%Pure」の物を。精油の瓶が遮光性で、植物名・学名・産出国が記載された物をご購入ください。アロマセラピー専門店で品質管理された天然の精油であれば安心です。

 

そんな隠されたパワーを持つ精油。「ぜひ感染症対策として取り入れてみたい」と思ったママも多いはず。具体的にどんな症状の時にどんなものを選べばいいのでしょうか。

乳幼児期の症状別のおすすめの精油と使い方

トラブル別のおすすめのアロマ

子どもが体調不良のときに出やすい「咳」「鼻水・鼻づまり」「寝ぐずり」「食欲がない」という4つのトラブル別に、おすすめの香りを紹介します

☆咳:ユーカリ
スーッと爽やかな香りが呼吸を助けてくれます。

☆鼻水、鼻づまり:ティートリー・ユーカリ
ティートリーは、鼻のムズムズや鼻水が気になる時に不快感を和らげてくれます。また、強い殺菌力や色々な感染が気になるこの冬から春にかけて体の不調の初期や予防にも。また免疫力を高めるパワーもあると言われています。
ユーカリ(Eucalyptus globulus) または 皮膚刺激が少なく少しマイルドなユーカリラディアータ(Eucalyptus radiata)でもいいでしょう。

☆寝ぐずりがひどい:ラベンダー・カモミールローマン・マンダリン・スイートオレンジ
上記4つの精油には、リラックス効果や副交感神経を優位に促し、安眠へと誘ってくれます。温かみのあるオレンジカラーの甘い柑橘の香りは、子どもから大人まで誰にでも馴染みがあり好まれる香りでホッと安心感を与えてくれます。カモミールローマンの甘い香りは気持ちが高ぶって眠れない時に気持ちを落ち着かせてくれます。

☆食欲がない:スイートオレンジ・マンダリン・カモミールローマン
食欲そそる優しい柑橘の香りは、腸の働きを助けてくれるので、消化不良は便秘などが気になる時に。カモミールローマンは心のストレスからくる時にも。お腹を優しく温めるようにマッサージや湿布などでお使い頂くときっと心も休まるでしょう。

アロマオイルの主な使い方

香りの好みや目的に合わせて使いたい精油をピックアップできたら、次はその精油をどう使うかについてお教えします。

「芳香療法」

ティッシュに精油を1~2滴たらしてファッと香らせます。

「蒸気吸入」

洗面器やマグカップに熱いお湯を入れて、精油を1~3滴以内(子どもの場合は1滴の少量から)入れて、立ち込める湯気を吸いこみます。その時にバスタオルなどで覆って吸入するといいでしょう。刺激が強いので使用は5分以内が目安。目を閉じて行いましょう。
鼻の不快感や喉の痛みのある時に向いている方法ですが、咳が出ている時、ぜんそく、てんかんには避けて下さい。

マスクの内側にしのばせる

外出時などは、マスクの内側にたたんだティッシュに精油を1滴たらして着用すると鼻の不快感を和らげてくれます。
精油が直接肌につかないように気を付けましょう。

塗布

3歳以上の子どもの場合、咳が出る時は胸や背中の上部に、食欲がない時は腹部に、精油をホホバオイルやアーモンドオイルなどの植物油で希釈したブレンドオイルを作って塗ります。(希釈の仕方については下の記載をご参考下さい)
3歳未満の子どもや赤ちゃんの場合は、直接肌に塗布するのはNG。「おなかの不調かな」というサインがみられたら、精油の替わりにカモミールのハーブティーを洗面器で抽出した温湿布で代用を。絞ったタオルを熱さに気をつかてからおなかの上にのせてあげてください。

温湿布

洗面器にお湯を入れ、精油を1~3滴以内(子どもの場合は1滴の少量から)垂らし、その中にタオルを浸し、水分を絞って部位に当てます。
上からラップとタオルを巻くと保温効果がアップ!冷めたら取り替えて様子を見ながら10~15分くらいあててみてください。

エアーフレッシュナー

風邪予防や咳や鼻のトラブル、寝つきが悪い時など全般的に使える方法です。
スプレー容器に、無水エタノール(薬局やドラッグストアで購入できます)小さじ1(5ml)、精油を1~5滴入れて混ぜ、さらに精製水(25ml)を加えて充分に振ってできあがりです。使用する直前にも軽く振るといいでしょう。
保存は冷暗所で日光の当たらないところで保管して下さい。

年齢別の使い方のポイント

3歳未満の子ども、赤ちゃんの場合

3歳未満の場合は、芳香療法で香りはごく弱めが基本です。
またアロマランプなど熱くなるものはやけどの可能性があるので避けるようにしましょう。

3歳以上の子どもの場合

症状別にお勧めの使用法をご紹介します

☆咳:芳香療法・塗布

☆鼻水、鼻づまり:芳香療法・蒸気吸入・マスクの着用

☆寝ぐずりがひどい:アロマバス・芳香療法・マッサージでのスキンシップ、エアーフレッシュナー

☆食欲がない:芳香療法・腹部への温湿布・腹部マッサージ・アロマバス、エアーフレッシュナー

乳幼児にアロマ療法をやるときの注意点

赤ちゃんや子どもにアロマ療法をする際に、いくつかの注意点があります。

誤飲などを防ぐために保管場所に注意

乳幼児でもっとも注意することは誤飲です。精油の小瓶や使用するものは、絶対に手の届かないところに保管してください。
特に注意したいのが、2歳児くらい。この頃になると、突然動きまわる、目をはなしたすきに好奇心から精油のふたをあけて舐めてしまうことも。思わぬ事故を防ぐためにも、精油の保管には充分に気を付けましょう。

精油は植物油で希釈して使用を

アロマ療法で使用される精油(エッセンシャルオイル)は、植物100%の芳香成分をギュッと濃縮しています。
3歳未満の赤ちゃんや子どもには香りを嗅ぐ芳香療法以外にはおすすめしていません。
3歳以上の子どもに使う場合でも、精油の使用量は大人の1/10程度から始め、必ず精油をホホバオイルやスウィートアーモンドオイルなどの植物油で希釈してから使いましょう。どんなに増やしても全体の半分以下の濃度に。

(小さな子どもは抵抗力が弱く体重も少ないので、大人に比べて精油の影響を受けやすいといわれています。そのため、3歳以上の子どもでも、体重の違いを考慮して大人より少ない量をおすすめしています。例えば、大人の体重を50kgとして、25kgの子どもは大人の半分を超えない量で使用を。さらに少なめに使うように心がけるとよいでしょう。/出典:公益法人日本アロマ環境協会より)

参考資料:希釈について
・1滴が0.05mlのドロッパー瓶(中栓がついた小瓶で1滴ずつ出てくる瓶)の精油を使う場合。
(精油の滴数 ✕ 0.05÷植物油の量✕100=精油の濃度%)
植物油に精油をまぜてご使用になる時、大人の場合でも1%以下としています。
→植物油50mlに対して、精油1.0%で10滴。
子どもの場合は、その1/10~半分以下とします。まずは少ない量から試しましょう。

肌に塗るときは必ず事前にパッチテストを

「3歳以上の子どものお肌に塗って使用する際は、パッチテスト(※1)をしてから使いましょう。

<※1 パッチテストとは>
精油を規定量の植物油で希釈したブレンドオイルを、前腕部の内側に500円玉の大きさ程度塗布。24~48時間の変化の様子をチェックし、肌にかゆみや炎症などのトラブルが起こらないかどうかを確認します。

パッチテストでトラブルがあった場合は、その時点で大量の水で洗い流して下さい。

ママの香りや愛情でたっぷりスキンシップすることも大切

アロマの使い方や、体のトラブル別におすすめの精油を教えてくれた松尾先生。最後に「とっておきの対策法」を教えてくれました。
「私たちにとって、リフレッシュにもリラックスにも心地いいアロマセラピーですが、小さな子どもがもっともリラックスするのは、何といっても『ママの香り』です。ギューッと愛情いっぱいに優しく抱きしめてくれるママの温もりが一番。スキンシップをぜひ大切にされてくださいね」。

ママの愛情+アロマの力で、寒い冬も元気の乗り切りましょう。

☆教えてくれた人☆

松尾 哲子(アロマセラピーサロン Naturelle(ナチュラル)を主宰)


ニールズヤードレメディース表参道校にてアロマセラピーについて学び始め、2011年にIアロマセラピストの国際ライセンスに合格。同校を卒業する際、校内の成績優秀者に授与されるStudent of the Yaer賞を受賞。その後、アロマセラピーサロンNaturelle(ナチュラル)を開設。当初はお知り合いの方のみを施術していましたが、少しずつ口コミで広まり、2017年に本格的にサロンをスタート。1日1組限定のとても丁寧な施術に惹かれ、リピートして通う人も多数。
英国IFA認定 国際アロマセラピスト、英国IFPA認定 国際アロマセラピスト、AEAJ認定 アロマテラピスト/アロマテラピーインストラクター、日本リフレックス協会認定 リフレクソロジスト

Naturelle(ナチュラル):http://www.naturelle-aroma.com/