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マイホームの購入を検討したときはじめに考えるのは、暮らしの「ハコ」となる物件をどうするか? つまり「注文住宅か建売住宅か、それとも分譲マンションか?」といったことではないでしょうか。その選択肢の中に、「コーポラティブハウス」を加えてみてはいかがでしょう。
「コーポラティブハウス」とは複数世帯の「入居希望者」と、建築家とが共同で集合住宅を作り上げること。
建売住宅や分譲マンションと比べると「コーポラティブハウス」という言葉はまだ一般的に知られてはおらず、はじめて目にする人もいるのでは。
コーポラティブハウスの企画・運営を手がけるアーキネットは1995年の創業。建築を意味する「architect」と「Internet」を組み合わせた造語が会社名・アーキネットの由来。これまでに100棟以上、840世帯が暮らす集合住宅をつくりあげてきました。都心から10km圏内のさまざまな土地にネットワークを形成するように点在する集合住宅は、さながら都市の細胞のように街の景観の一部となっています。
「コーポラティブハウスに暮らす石子さん一家の暮らしを紹介したインタビュー記事」が好評をいただいたことから、「コーポラティブハウス」という住宅のあり方に焦点を当てて、特徴や暮らし方をご紹介します。
「コーポラティブハウス」は建築家とともにつくる住空間
「コーポラティブハウス」は、集合住宅の新しいかたち。コーポラティブハウスに住みたいと考えている複数世帯の「入居希望者」と、建築家とが共同で集合住宅を作り上げます。
「職住隣接」の住まいでゆとりのある生活を実現
アーキネットのコーポラティブハウスでは、「街暮らしを楽しむ」ライフスタイルを提案。都心から10km圏内の「職住が隣接している」土地を探し出すことでコンパクトな「働く」と「暮らす」を実現しました。
移動時間が減ることで生まれる「自由な時間」によって毎日の生活に余裕ができ、人生が豊かになるという考え方をしています。
また、自由に「空間」を設計できることも大きな特徴といえます。空気感や採光など土地の特性を活かした外観の部分を建築家が担当し、入居者の希望する内装を注文住宅と同じように、天井高や窓の位置、壁の有無や素材など、入居者と建築家とで細部にいたるまで相談しながらつくりあげることができます。
■ 大井町陽だまりテラス/Photo by Hideki OOKURA

■ 下馬の集合住宅/Photo by Takeshi YAMAGISHI

■ 目黒東が丘テラス/Photo by Hideki OOKURA

注文住宅と分譲マンションのメリット・デメリット
マイホームが欲しいと考えた時、多くの人がはじめに考えるのが「注文住宅かマンションか?」の選択。

注文住宅はライフスタイルや好みに応じてこだわりのある家を作ることができる反面、都心での生活を望む場合、土地を購入する場合には高額の費用がかかり、予算オーバーになることも。

マンションの場合は都心へのアクセスがよく、セキュリティもしっかりとした物件が多い反面、間取りや内装がほとんど決まっているため、「型にはまった」住まいになりがちです。
余計な費用がかからないリーズナブルな価格を実現
建売住宅や分譲マンションを購入する場合、物件を目にするのはチラシや不動産での紹介、モデルルームの訪問がきっかけになることが多いもの。そういった物件には広告費や仲介料などのマイホームそのものの値段とは別の費用が発生します。
コーポラティブハウスの場合、アーキネットが一括して土地の購入や入居希望者の募集、建築家の紹介を行うため、都内分譲マンションと比較すると予算を2割ほど抑えて、リーズナブルな価格で住まいを提供することができます。
子育て世帯のメリットは近所づきあいが自然にできる距離感
子育て世帯に限りませんが、「住まい」は内装や間取りだけでなく、もともと近隣に暮らしている人や同じ時期に新生活をスタートさせるような、いわゆるお隣さんなど周辺の環境も含めて検討する人が多いのではないでしょうか。
コーポラティブハウスでは「マイホームが欲しい」と考える人たちが10世帯ほど集まって家を建てるというシステム上、何度か打ち合わせを重ねるごとに自然と言葉をかわして親しくなり、家が完成したあとはご近所さんとして交流を続けていく方がとても多いのだとか。
入居前には「集合住宅という性質上、ある程度はがまんして人付き合いをしていかなくては」と近所づきあいにネガティブなイメージを持っていた方も、実際に暮らしてみたところ特に苦痛もなく、ちょうどいい距離感で生活できているそう。
土地の持つ空気や立地に魅力を感じる人たちは、生活スタイルなど同じ価値観を持っているということができます。また、同じ時期に「家が欲しい」と考える人たちが集まってコーポラティブハウスをつくることから、住人同士のライフステージが共通していることも、近所づきあいを円滑にしているひとつの要因と言えるのではないでしょうか。
長屋のようなコミュニティで子どもをはぐくむ環境
アーキネットでは、コーポラティブハウスを「長屋の延長」ととらえています。
長屋は江戸時代の賃貸住宅で、現在のマンションやアパートなど、土地を持たない江戸の庶民が集住するスタイル。一般的な長屋は、一棟の建物内部を数戸が住めるよう壁で仕切った横長の構造をしています。複数の家庭が軒を連ねることで、そこにはコミュニティが生まれました。調味料の貸し借りや共有スペースで遊ぶ子どもを見守ったりといった、現代社会では希薄になった「助け合い」の精神が息づいていたといいます。
隣近所に暮らす人の「顔」や「人となり」がわかる距離で、助け合いながら生活できる環境があることが、子育て世帯にうれしい影響を与えるのだそう。
子どものころから家族以外の大人と接することで、日常生活でのコミュニケーションに欠かせない挨拶が自然にできるようになり、他人との適切な距離感を肌で学ぶことで、子どもがすこやかに成長できる環境が整っています。
近年、子どもたちの足音や笑い声が「騒音」として苦情の対象となり、社会生活を送るうえでの課題として認識されるようになりましたが、これも現代の生活のなかから「町」「近所」単位でのコミュニティが失われたことが少なからず影響していると考えられます。
それは、コーポラティブハウスに住まう人たちが、「子どもの足音や笑い声が聞こえてくることもあるけれど、不快だと感じたことはない」と語ることとも関係しているのではないでしょうか。
共有スペースが人と人のつながりを作る

駒沢・緑道の家/Photo by Takeshi YAMAGISHI
集合住宅に住まう人同士の長屋のような近所づきあいが、多くのコーポラティブハウスで自然に生まれているといいます。
同じようなライフステージの人たちが自然に入居するので、それぞれの家庭で子どもの年が近いことが多く、子ども同士で遊ぶだけでなく、大人の付き合いも自然と密に。
ちょっとした用事で子どもの世話をしてもらったり、共有スペースでバーベキューを楽しんだりと、さながら現代の長屋のようなコミュニティが生まれているのだとか。
長屋との大きな違いは、壁の厚み。長屋建築では、簡素な壁で世帯を区切っているので隣近所の生活音や話し声など、ごく近くに人の息遣いを感じることができます。一方コーポラティブハウスでは、図面の段階で通常の物件よりも壁を厚くし世帯ごとに快適な生活を送れるように配慮しました。
コーポラティブハウスでは敷地内の多くのスペースを共有することで、「お互いさま」の精神が生まれ、居住者たちの間に子どもたちの笑い声や足音も「生活をおびやかすもの」としてではなく「日常の一部」として、自然と好意的に受け入れられています。
居住者同士の協力で建物の管理・維持もスムーズに

目黒東が丘テラス/Photo by Hideki OOKURA
適度な距離感で居住者のコミュニティーが形成されることで、集合住宅の管理・維持も居住者同士で組合をつくり、お互いの協力で行います。
大規模な分譲マンションの場合、世帯数が多いので居住者同士の関係性が希薄に。そのため、集合住宅全体の合意が必要な管理・維持に居住者が直接関与する機会は少なく、管理会社などに依頼するのが一般的。
ですが、コーポラティブハウスに居住する人たちは集合住宅が「お互いの財産」という意識が強く、自分たちで直接管理することで外部に委託するコストもかかりません。
おおよそ10年に一度を目安に建物全体を修復する大規模修繕をおこなうので、転勤などを理由にコーポラティブハウスを手放すことがあっても、長期的に見て物件の価値が目減りしづらいこともメリットのひとつといえます。
現在入居希望者を募集中なのは、緑ゆたかな土地
■ ミドリノオカ学芸大学

アーキネットでは、現在二子玉川、富ヶ谷、自由が丘、成城などでコーポラティブハウスの計画を進行しています(2018年2月現在)。
いずれも緑豊かな土地で、代表の織山さんがコンサルティング業務で得た知識と経験を通じて、それぞれの街の空気感や土地の特徴にふさわしいと思える建築家をご紹介しています。
居住スペース・共有スペースのどこにいても気持ちよく過ごせる「人間のための空間」をモットーに、敷地内の共有スペースにも多くの植栽を計画しています。
■ 富ヶ谷テラス

居住者だけでなく、共有スペースを訪れる人たちにもここちよさを感じてもらえるような、シンボルツリーのあるコーポラティブハウスも。
住まいと、そこに暮らす人々と一緒に成長するシンボルツリーだけでなく、空間の「余白」を大切に、多数の植栽を予定しているのだとか。
■ 世田谷プロジェクト

■ ニコタマテラス

建売住宅や分譲マンションを購入するときに重視するのは、駅からの距離や敷地面積、部屋数などのいわゆる「スペック」ですが、コーポラティブハウスをこれらの「スペック」で一律に語ることができません。
建築家と一緒につくりあげた空間は、天井の高さだったり窓の位置だったり、床の素材感だったり、随所に「こんな暮らしがしたい」という居住者の思いを感じることができます。自然と、「自分たちの家なら……」と漠然としていた理想やライフスタイルのイメージも具体的に見えてくるはず。
百聞は一見にしかず、マイホームを検討中の方は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
ご協力いただいた方
織山和久さん(株式会社アーキネット代表)
1995年、株式会社アーキネットを設立。地域・都市経営に関する分野を中心としたコンサルタント活動の経歴から得た建築知識や建築家との交流を活かして、土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛ける。創業時からインターネットを利用したコーポラティブハウスの企画・運営に取り組んでいる。自身もアーキネットの手掛けたコーポラティブハウスに住まう。
株式会社 アーキネット
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