NAME:モイヤーさん
JOB:翻訳業/ネットショップ運営
FAMILY:4人(13歳男の子、5歳女の子)
RESIDENTAL FORM:マンション(購入)/1年


埼玉県飯能市、住宅街の一角にあるモイヤーさん一家の暮らすマンション。4人家族ですが、13歳の息子さんはアメリカに留学中。1年ほど前に、ご主人の独立を機に自然豊かな子育て環境を求めて引っ越しを決めました。現在暮らしているマンションは、理想の暮らしを求めて、材質やレイアウトにこだわってリノベーションしたもの。DIYが趣味で、壁の漆喰塗装をDIYしたり、インテリアや雑貨を娘さんと一緒にセルフペイントして自分好みにカスタマイズ。週末には家族や友人と飯能河原で川遊びを楽しんでいます。

メキシコのカラフルなテキスタイルが大好きで、ネットショップも運営しているモイヤーさんに、暮らしのこだわりやお気に入りのアイテムをうかがいました。

インタビュー前編では現在暮らしているマンションのリノベーションや趣味のDIYなど、暮らしの「ハコ」としての家づくりについて、後編では天然のもの・色づかいにこだわったこだわりのアイテムのある暮らし方についてご紹介します。




リノベーションとDIYで仕上げた、すべてが愛しい家

マンションを購入して、素材にもこだわったリノベーションとDIYで仕上げました。

マンションで暮らすモイヤーさん一家ですが、内装を入居前にリフォームしているので、随所にこだわりが詰まっています。

手塗りのテクスチャが印象的な白い壁は、自分で漆喰を塗装したもの。「天井も含めて家中を塗装したので、場所ごとにだんだん上達しているのがわかる」のもまた思い出です。夏は漆喰が湿気を調整してジメジメ感なくひんやりと快適。天井のファンで室内の空気を循環しています。

壁の漆喰塗りの他にも内装の多くを自分自身で手がけました。入居前の3か月ほど、週2~3回東京から通いながらキッチンの背面壁ペイント、コンロ回りのタイル貼り、洗面所のタイル貼り、お風呂の壁ペイント、お風呂の床シート張替えを友人に手伝ってもらいつつ、ほぼひとりで完成させました。

ドアのペイントや和室のふすまペイント、障子とふすまの張替え、飾り棚の取付は入居後に。

家中の床やウッドデッキ、キッチンの造作カウンターや棚、造作洗面台、リビングドアの取り付け、電気関連、トイレなどの水回りなど大掛かりなもの・専門的なものは施工業者さんにお願いしています。


賃貸一戸建てでの暮らしがマイホーム構想のきっかけに

モイヤーさんは、現在の住まいに越してくる以前は庭付きの新築一戸建て賃貸で暮らしていたそう。「賃貸ゆえに規制があり、できないことが多いのが嫌だった」と話してくれました。
壁にビニールクロスを使っている点や、フローリングの床が冷たかったり、内装にプラスティック素材を使っていたり、モイヤーさんの好きな「自然」の要素が住まいにはなく、息苦しく感じていたのだそう。

そんな前の住まいでの暮らしもあって、思い描いていた「理想の暮らし」を自らの手でつくりあげた今の住まいには愛着もひとしおです。


庭付きの一戸建て希望からの変遷

現在のマンションでの暮らしを愛してやまないモイヤーさんですが、もともとマンション住まいを希望していたわけではありません。マンション暮らしの経験がなかったこともあり、マンションで生活するイメージができなかったため、もともと育った環境に近い「庭で畑ができて、鶏が飼えるような」大きな庭付きの一戸建てを探していました。しかし、予算や駅から物件までの距離に折り合いがつかず、時間も限られるなか「土地を探して理想の家を建てる」のは難しく、諦めることに。

ライフスタイルにマッチする住まいを見つけるため、中古の戸建て、古民家、空き家、中古マンション、新築戸建て、さまざまな物件を見て回ったのだとか。
「思い描いたとおりの家に暮らしたい」という気持ちが強かったことから、リフォーム済み物件では満足のいくものが見つかりませんでした。そんななか、現在のマンションは先住の方が退去する前で手が入っていない状態だったので自由にリフォーム可能だったこと、庭が広く一戸建て感覚で住めることが決めてとなり購入に至りました。


リビングから庭へと続く天然木のウッドデッキ

リビングから庭につながるデッキには、リビング床と同様に地元・飯能産のスギ木材「西川材」を利用しました。仕上げには国産の天然ヒノキオイル”U-oil”を塗装しています。無垢のさらりとした質感はそのままに、風雨から木材を保護してくれる優れたオイルです。

壁と床の木材のおかげか、モイヤー家のリビングはエアコンいらず。冬は無垢杉材のおかげで床暖房がなくてもはだしで歩ける快適な環境です。お風呂上がりに娘さんがはだしで歩いても水気でベタつくことなく、さらさらで柔らかさのある質感なのだとか。


木を愛する施工会社さんにリノベーションを依頼

木を愛する施工会社さんにリノベーションを依頼

リビング・ダイニングルームの床をはじめ、モイヤー家の大掛かりな部分の施工を手がけているのはフォレスト西川さん。飯能に住むことを決めたときから、飯能市で生産された西川材を使ったリノベーションを希望していました。天然の木材であることに加えて、地元の建材を使うことで飯能市から補助金が給付されることも現実的な魅力のひとつでした。

「飯能市」「西川材リフォーム」で検索してヒットしたいくつかの会社さんに相談するなかで、無垢材は厚みがあることから、「床に貼るのが難しい」と断られることも。
そんななかでフォレスト西川さんにはモイヤーさんが考えていた「こうしたい」という思いをしっかりと理解してもらえ、壁をDIYしながらのリノベーションにも共感してもらたことが決め手となり、施工を依頼することに。床貼りや電気まわりの施工は栄光建設さんが担当しています。造作キッチンカウンターや洗面台などのデザインはインテリアコーディネーターさんと相談して決めました。

フォレスト西川さんは自社で森林を育てていて、仕上げの塗料にも安心して使える天然素材のものしか使っていないなど、会社として木を愛する姿勢を持っていることも信頼して家づくりを依頼するうえで大きなポイントだったといいます。

工事開始から引き渡しまでの期間は1か月ほど、メールで密にやりとりしながら5回ほどの打ち合わせを交えつつ進めました。


造作した高さのあるキッチンは意外と使い勝手◎

キッチンは全体的に手を加えていて、もともと設置されていたキッチンカウンターと吊り戸棚を撤去。キッチン部分の壁も撤去し開放感を出しました。天井部分を漆喰で塗装したうえで自分好みのキッチンカウンターを造作※してもらいました。コンロ周りにはDIYでブリックタイルを貼り付け、納得のゆくまで自分好みに仕上げました。

また、モイヤー家にはご主人の出身地であるアメリカのアイテムが多数あります。キッチンカウンターもアメリカ基準に合わせた高さで造作されていて、日本の一般的なキッチンよりも10cmほど高さがあります。
必要なものを取るときにかがむ動作が少ないので、作業しやすくて気に入っているのだとか。ちなみに、アンティークブラス※の黒の蛇口もアメリカで見つけたものを取り付けました。

キッチンの壁面は奥様の好きなターコイズブルーにセルフペイントし、手作業でメキシカンタイルを貼り付けています。

※造作(ぞうさく):つくりつけ。大工工事でつくり、取り付けた家具などのことをいいます。
※アンティークブラス:時間の経過によって、真鍮の色味がゴールドから黒みを帯びて変化すること、またはその加工のことをいいます。


オープンキッチンは物が増えすぎないように

ブルーが印象的なキッチンの壁に、アイアンブラケットが印象的なオープン棚。もともとは吊り戸棚でしたが、取り外してオープンにすることで奥行きができ、空間を広く感じられます。「見せる収納」を意識して、食器や調理アイテムが増えすぎないように気をつけています。食器は、シンプルで使い勝手の良いものを愛用。ところどころ、メキシコで購入した食器が彩りに。

黒をベースに、ブルーがアクセントの冷蔵庫も黒板塗料をセルフペイントし、メキシカンタイルでつくったマグネットを貼り付けたもの。


子どものコーナーは目線の高さを合わせて

和室の一角が娘さんのためのスペース。まだ、専用の部屋はありません。ブルーが印象的な障子は、破れてしまった部分を直すときに、一松模様に張り替えました。スペースの奥に配置した木の枝は、庭に生えているヤマモモの木。
子どものスペースは、しゃがんで遊んでいるときに圧迫感がないよう、子どもが座ったときの目線よりも低めを意識しています。
収納には、フリーマーケットアプリで購入したリンゴ箱やワイン箱を使用しています。




ご主人の独立を機に、自然に囲まれた環境での子育てを両立するために、自然豊かな飯能市を暮らしの場所に選んだモイヤーさん。前編では、暮らしの「ハコ」にも妥協せず、こだわりの自然素材を使ってマンションをリノベーションし、思い描いていた住まいを実現しました。
後編では、自分でペイントしたインテリアやおもちゃ、てづくりのぬくもりを感じるアイテムなど、モイヤー家のライフスタイルを形づくる「モノ」をご紹介します。

casa zapoteca
web:https://www.casazapoteca.com/

手作りを楽しむ リノベーションマンションの4人暮らし[後編]