ママでありながら、自分の魅力を生かして活躍する素敵な女性たちをご紹介する企画「mama creators interview」。2回目にご登場いただくのは、シンガーソングライターの青木美智子さん。ソロユニット“Quinka,with a Yawn(キンカ,ウィズアヨーン)”名義で全国のカフェやギャラリ−などでライブを展開したり、CMの歌やナレーションにも数多く起用されたりと、広く活躍されています。現在3歳の男の子のママでもある美智子さんに、アーティストとしてのお仕事のこと、子育てのことについて、ご自宅でお話を伺いました。

青木家=シンガーソングライターの夫婦ユニット
美智子さんは今から20年前に女性トリオバンド「エスレフノック」のボーカル/ギターリストとしてメジャーデビューし、バンド脱退後、ソロユニット「Quinka,with a Yawn」で音楽活動を続けられています。最近では、ゴールデンウィークに二子玉川ライズで開催されたフリーイベント「太陽と星空のサーカス」でライブ出演し、多くの来場者やファミリーにほっこりと温かな歌声を届け、反響を呼びました。
実は美智子さんのご主人・慶則さんも“HARCO”という名義で20年間シンガーソングライターとして活動されており、夫婦ともにキャリアの長いプロのミュージシャンという珍しいご家庭。お二人とも自宅で楽曲制作をしているので、お子さんが産まれる前は、一般企業に勤めるビジネスマンのように、朝決まった時間に起きたり、平日に働いて週末にお休みするという必要はなく、深夜中制作作業をしたり、土日にライブをしたりするので、いわゆる一般的な生活リズムとは真逆のリズムで生活を送っていたそうです。
長男誕生で180度生活が変わる
約3年前に長男の晨雲(あすも)くんが誕生。青木夫妻の生活は一変します。美智子さんは妊娠中や出産直後はライブ活動を休止。復帰後は日中に開催されるライブに晨雲くんを連れていき、ご自身のライブパフォーマンス中はご両親に子守をお願いするなどして活動を再開していったそうです。「今は主人も日中に(自宅の一室にある)制作スタジオに、集中できるように鍵をかけて作業をして、なるべく19時までには切り上げて晨雲と一緒に過ごすようにしてくれています。」
そんな晨雲くんがこの春幼稚園に入園し、美智子さんは人生初のお弁当作りに挑戦。「さらに規則正しい生活を送ることになって体の調子もよくなりましたね」とうれしそうに話してくれました。
入園式のために作った、家族お揃いの蝶ネクタイ。美智子さんは麦わら帽子にワンピースというスタイルで、紺色スーツ陣の中一人目立っていたそう(笑)。
(左) 大変だけど、楽しいお弁当づくりの参考に。(右)「性格的には私の方がおおざっぱで、夫はちょっと細かすぎるので、たまに子育て本を見せて『あまり細かく言い過ぎない方がいいらしいよ』とアドバイスしたりします(笑)。」
息子には、やっぱり歌をやらせたい
水曜日は幼稚園が午前で終わるので、午後には慶則さんの仕事を切り上げて、家族で美術館に出かけることもあるのだそう。晨雲くんが入園するまでは、美智子さんが大のお出かけ好きで、晨雲くんと二人、車に乗って動物園や公園によく遊びに行っていたそうです。「昨日も3人で知り合いのイラストレーター、福田利之さんの展示を見に、吉祥寺美術館に行きました。子ども向けではないのですが、動物が温かな作風で描かれていて、晨雲もひそひそ声で『これなんだろうね?』と聞いてきたり。興味をもっていたようです」
家の中には、晨雲くんが好きに触れられるように木琴やピアノ、ギター、ウクレレなど色々な楽器が置かれています。「晨雲が自分で適当に歌を作って歌っていることもあります。やっぱり息子に歌を習わせたいという気持ちはありますね。今は本人は体を動かすことの方が好きみたいですけど(笑)。」

晨雲くんの作品。(右)「まるをいっぱい描いていたから、『ちょうちょにしよう!』って一緒に蝶々型に切りました。」
わんぱくざかりの3歳児。体操部だったママの血を継いでか、運動神経抜群の動き!
友人のニット作家、中村文子さん製作のサルエルパンツ(FUMIMONO)を愛用。キッズラインもあり、晨雲くんもこの日着用している。
「家までよーい、ドン!」とかけ出す仲良しの青木ファミリー
リビングルームから飛び出す曲たち
「昨年、キンカの活動が15周年だったのですが、この15年間ずっと自分の音楽だけを追求してきて、自分中心に生きてきた私が、出産後は完全に子どもが生活の中心になりました。でもそれが全然苦ではなくて、子育ての体験は音楽活動をしているだけでは知れない世界だったし、自分にとってはとても自然な流れでした。夫とも10年間夫婦として二人だけでいたときには感じなかったことを、子どもが生まれたことでお互い感じることができたり。毎日新しいことの発見ですね。」
近い将来の目標は、Quinka,with a Yawnとしてアルバムをリリースすることなのだとか。「今まではバンド形式のリリースが多かったのですが、最近のライブはサポートギターのフタキダイスケ(トルネード竜巻)とギター二本+歌だけでやっているので、それを録ってアコースティックな作品にできたらなと思っています。キンカのコンセプトとして、スタジオなどに閉じこもるのではなくて、周りの環境の音を聴きながら、リビングで曲を作っていたいなというのがあって。晨雲が幼稚園に行っている間などに、少しずつ作っていく予定です。」

柔らかく、ナチュラルなオーラをまとう美智子さん。「もともと子どもは苦手だった」というのが信じられないほど自然に、楽しそうに子育てをされているのが伝わってきました。ご主人の慶則さんも、美智子さんもときに同じ目線で晨雲くんに接していて、同じように澄んだ景色を見ているからかもしれません。そんなQuinka,with a Yawnが生み出す、リビングルーム・ポップが届く日を心待ちにして。完成したときは、ここでまたご紹介したいと思うのでお楽しみに!
Quinka,with a Yawn(キンカ,ウィズアヨーン)
シンガーソングライター青木美智子によるソロユニット。
最新オリジナルアルバム「さよならトリステス(2013年)」以降はサポートギターにフタキダイスケ(トルネード竜巻)を迎え、ギターと歌+トイ楽器を使った素朴な形態で全国のカフェやギャラリ−などでライブを展開中。
また、CMの歌やナレーションにも数多く起用されている。
童謡カバーアルバム「こどもれこーど」やJPOPカバーユニット「DHY」など、カバーアルバムへの参加も多数。
quinkawithayawn.com
edit&text:Nao Asakura
photo:Mariko Mibu