ママでありながら、自分の魅力を生かして活躍する素敵な女性たちをご紹介する企画「mama creators interview」。
3回目は、レポートを公開中のハッピーな親子ランチイベント『Carnival』の主催者でもあり、ボーカリストとして活躍するCanaさんが登場。J-POPのカバーアルバムが大ヒットし、知名度を上げたユニット“Sotte Bosse(ソットボッセ)”としての印象が強い彼女ですが、最近はソロでも活動をスタート。Carnivalに込められた思いやご自身のこと、プロのボーカリストになるまでの経緯について、熱く語っていただきました。

cana sotte bosseさん

“ボーカリスト”としてのポジション

ー先日4/22に開催された「Carnival〜虹〜」も大盛況でしたね!Carnivalは、今のCanaちゃんの活動の中で大きな割合を占めるているの?
おばあちゃんになってもやっていきたいことの一つで。新しいテーマというか、ソロのアーティスト活動とも違った、母親としてのプライベートな部分も交えた中心となっていくプロジェクトになるかなと思っています。

ーCanaちゃんは、アーティストというより、ボーカリストなんだよね?
わりと変幻自在に自分の声をコントロールして、求められているものを表現していく、というのが自分にとっては楽しくて。“ボーカリスト”として捉えてもらうのがしっくりくるかもしれない。

cana sotte bosseさん


詩の世界やメロディがあって、それを立体化するというか。横に寝ているものをより立体的にして、それを誰かのところに届けて「あなたはどう思う?」って答えも提示しない媒介者のような。間に入って、形にしていくポジションかな。



ー4/21にリリースしたばかりの「砂時計」も、作詞は日比康造さん、作曲は小久保徳道さんがご担当されているよね。
シンガーソングライターではないから、あくまで私の声で表現する、というのが中心にあって。自分で歌詞を書いている曲もあれば、「この世界観はこの人の歌詞が合いそうだな」と思ったら、その人にお願いしたりとか。

「砂時計」は、私自身が子育てや大切な人との暮らしの中で感じている、日々の葛藤を描いた曲。 毎日ドタバタとしていて、子どもに「ほらあれしなさい!」とかつい強く言ってしまったり、ゆっくり話を聞いてあげられなかったり。そんな日の夜は娘たちの寝顔をみながら、反省したりする日々で。「ちゃんと上手く愛情を伝えられているかな?」と完璧なお母さんになれていない葛藤を抱きながら、「それでもあなたが大好きよ。愛しているよ」というメッセージをこの曲で伝えられたと思い、歌詞を日比康造さんと一緒に制作したんだ。お母さんに限らず、誰かを愛しながら同じような想いを抱いている人がいるとしたら、「完璧じゃなくてもいい。どんなに不器用でも、大切な人と一緒に今日を笑って抱きしめられたら最高じゃない!」。そんな想いを共有できたらうれしいなと思っています。


歌手になるため、まずは表参道に

ー作詞や作曲もされるんだね。そもそも、やっぱり子どものときから歌うのが好きだった?
うん。小さいころ、母親が絵本の読み聞かせもしてくれるけど、「カナちゃんは今日何を歌いますか?」って寝る前に毎日歌う事が日課になっていて(笑)。録音したテープが残ってるんだけど、聞き直してみたら、2〜3歳でも結構しっかり歌ってて。あの頃から好きだったんだなって思う。

あと、小学生のときは学校から帰ってくるとランドセルから歌集を取り出して、勉強机の下に潜り込んで、「目を閉じて開いたページの曲を歌ってから校庭開放に行く」というルールを自分で決めて毎日やってた(笑)。でも歌っているうちに楽しくてもう一曲、もう一曲って止まらなくなって。

cana sotte bosseさん


ー机の下(笑)。自分の声がこもってよく聞こえるから歌の練習には最適だったのかな?
狭くて暗くて、自分の世界に閉じこもれて心地よかったんだと思う。絵本好きな子が絵本の世界に入り込むような感覚で、歌の詞の世界に入るのがすごく好きだった。

ーそのあと、どうやってプロのボーカリストとしてデビューすることになったの?
歌手になるのがずっと夢だったんだけど、センスを磨きながら表に立っていきたいなっていう気持ちもあって。高校を卒業してから6年間、表参道のミハラヤスヒロ(SOSU)でアルバイトをしていたの。生活費を稼ぎながら音楽活動を始めたんだけど、結局そこで出会った人たちが、今のお仕事でもご縁が続いていて。

ー歌手になるには、遠回りなようで現場直結ルートだったんだ!?  でも日中はSOSUで働いていて、どうやってCanaちゃんの歌が広まっていったの?
SOSUで一緒に働いていた人が、今回「砂時計」でも作詞をお願いした康造さんとか、色々な人たちを紹介してくれたんだよね。最初はJ-POPカバーとか、10代のときにアカペラで作った曲にトラックをつけてもらって作ったデモCDが、人から人へ渡っていった感じかな。

cana sotte bosseさん


ヒロシさん(i-dep、Sotte Bosseの相方中村ヒロシ)につながる一枚は、当時バンドをやっていたミュージシャン仲間が、レコーディングスタジオで私が高校生のときに作った「ゆらり」という曲を流してくれたの。それを聴いたレコード会社の人にお声かけいただいて、『琉球マブヤーサウンド』という島唄のコンピレーションアルバムに参加させてもらったのが、いわゆるCDデビュー。そして『琉球マブヤーサウンド』にi-depも参加していたのがきっかけで、i-depにもボーカリストとして参加させてもらうことになり、後にメジャーデビューという流れかな。

Carnivalのはじまり

Carnivalで朗読する絵本たち


ーSotte Bosseは現在活動休止中だけど、Carnivalをスタートさせたきっけは?
Sotte Bosseとして活動しているときに、色々な地域のショッピングモールでライブをさせてもらう機会があって。ライブのあとのサイン会で赤ちゃんを連れた女性が、「以前はよく主人と二人でSotte Bosseのライブに行ってました。でも子どもが生まれてから夜のライブに行けなくなってしまって。だから今日はここに来てくれてすごくうれしいです」って言ってくれたんだけど、他にもそう言ってくれるお客さんがたくさんいて。「こういう人たちが来れるライブがしたい。来れなくなってしまったのなら、来てもらえるようにしたい」とずっと思ってた。

それであるとき、i-depのときからジャケットのデザインを担当してくれていたTanny and Gomes.の谷石さんに「私、ドリーミーな世界観で舞台装飾をして、絵本を開いたようなセットの中で歌を歌いたいと思ってたんだ」と持ちかけたの。そうしたら、谷石さんも「僕もずっと舞台装飾がやりたいと思っていた」と同意してくれて。家族でランチタイムに楽しめるCarnivalのプロジェクトがスタートした。

こぶたのタップ


「子どもが来れるライブなら、絵本を朗読しよう。せっかく朗読するなら自分たちでオリジナルを作ろうよ」って最初に完成させた一作目が、『ひとりぼっちのこぶたのタップ』。



ストーリーは、タップは自分がひとりぼっちだと思っていたんだけど、森のみんなはタップのことをいつも思ってくれていて、知らないうちに信頼関係が積み重なってできていて、それがタップの中ですごく大きな宝物になっていたということに、タップ自身が気づくというもの。

私自身感じたことがストーリーの題材になっていて、それをCarnival第一回目の下北沢440で発表したときに、お客さんたちが「わあっ」て歓声をあげてくれて。手作りで創り上げたものに喜ばれたことが、すごくうれしくて。これはもっともっとたくさんの人たちと共有していきたいなと思ったんだ。

cana sotte bosseさん

ーCanaちゃんが心からやりたかったことが形になったんだね。お客さんは、温かい雰囲気の人たちだったよね。昔からのSotte Bosseのファンの方が多いのかな?

お客さんは、昔からSotte Bosseを聴いてくださっている方が中心になってるかな。Carnivalでは、また少し幅が広がっていて、普段あまり音楽を聴かない方たちにも来ていただけている気がする。私たちも、音楽フェスに行くようなコアな音楽ファンではない方たちにも、ピクニックの延長線上で気軽にCarnivalに来て音楽やアートに触れてもらえたらいいなと思っていて。絵本も、フードも、装飾も楽しめて、音楽っていう思い出がついてくるような。楽しくて、おいしくて、かわいくて、サーカスみたいにわくわくするイベントにしたいんだよね。

あとは、大人が一生懸命作っているものに触れて、「好きってこういうことなんだ」という姿を子どもたちに見せられたらいいなと思ってる。私は歌が、Tanny and Gomes.さんはデザインがとにかく好きで、それだけでハッピーな空気が湧き出てるでしょ(笑)。

cana sotte bosseさん


ーうんうん!「子育てで自分自身と向き合う時間が取れないお母さんたちが、解放的になれる場にしたい」とも言ってたよね。確かにCanaちゃんの歌声で、毛穴に詰まった疲れが洗い流される感じがしたよ(笑)。今度はどのように展開していく予定?
今後は年2回、できればもっと頻繁にやれたらいいなと思う。Carnivalのテーマとしては、開催のたびに新しい絵本を制作して発表する、というのを掲げていて。次も必ず新しい絵本が登場するはず!

プライベートでは、小学2年生の双子の女の子のママでもあるCanaさん。ご家族では、晴れていたらお弁当をもって大好きなピクニックをして過ごすそう。ママがお家でいつも歌っているので、娘さん二人も歌や音楽が大好きなのだとか。ハッピーオーラ満載のCanaさんが企画するCarnivalや、ソロ活動にもますます注目です!

Cana Sotte Bosse
心のヒダにやさしく触れるような無垢な歌声で、聴く者を瞬時に惹きつけるCana。詩の世界に深く入り込み、語りかけるように歌うボーカルスタイルで、リスナーの心の奥深くにメッセージを届ける唯一無二の声を持つ。Sotte Bosse、i-depのボーカルとしてSXSW、サマーソニック、ARABAKI ROCK FESTをはじめ、数々のフェスやイベントにも出演。また、Free TEMPO、sasakure.UK、ROCKET MANなどのフィーチャリングボーカルとしても話題に。現在は、ソロ活動もスタートし大きな注目を集めている。
https://www.cana-official.com/


edit&text:Nao Asakura
photo:Mariko Mibu