NAME:武久さん
JOB:医療関係/主婦
FAMILY:4人(4歳半女の子、1歳8か月女の子)
RESIDENTAL FORM:テラスハウス(賃貸)/6か月
川や緑道のほど近い閑静な住宅街の一角に暮らす武久さん一家。1980年代初頭に建てられた建築家の作品で、一見して大きな戸建てのように見える建物は、各住戸に専用テラスを持ついわゆる「テラスハウス」。スキップフロアの5階建ての住まいには半年ほどまえに越してきたばかりです。
建築とアートが好きなご夫妻と2人の娘さんと4人で暮らしている、人の息づかいを感じるような「生活感」のある武久さんの住まいやお子さんとの生活をご紹介します。
光の表情豊かなリビング

冬の朝の柔らかな光が差し込む武久家のリビングには、写真左側の窓だけでなく、写真奥に見える木漏れ日や天井から差し込む光など、1日のいろいろな時間帯や季節の移ろいとともに表情を変える空間です。
家の部屋と部屋をつなぐように階段が設置されているのが「スキップフロア」建築の特徴ですが、武久家の階段はどの部屋にいても視界に直接入り込まない、独立性の高い設計になっています。

子どもにも手に取りやすい位置に娘さんたちのおもちゃ置き場や遊び場が設定されています。写真中央のラタン製のチェアや木製のテーブルはベビー・キッズサイズに見えますが、実はそれぞれ異なるショップで購入した大人用のものを愛用しています。
ローテーブルは祐天寺のセレクトショップで、座椅子は街の商店街にある日用雑貨店で購入したもの。写真奥に見えている家具とも色味を合わせることで、インテリア全体に統一感が生まれています。

他の家具と同じナチュラルな色味の収納は「margherita」のBLC収納ボックス。ビー玉を使って縦横にスタッキングができる、少し変わった収納アイテムです。このコーナーには子どもの小物やアクセサリーなどを収納。4歳の娘さんが小さい頃に施した落書きが模様のようになっていて、オリジナリティあふれるコーナーになっています。
インテリアのテーマは「好きなもの」
武久家ではインテリアのテーマなどは特に決めておらず、ヴィンテージものや古道具、手作りのアイテムや海外のお土産などで構成されています。
ご夫婦で好きなものが似ているので、何かを選ぶときにも特に妥協が生じることもなくスムーズに決まるのだとか。
半地下のダイニングルーム

武久家の一番下のフロアは、ダイニング&キッチン。半地下のような構造ながら、写真奥には小窓や天窓が設置されていて、どことなく秘密基地のようなおもむき。
ダイニングテーブルセットの向こう側にあるのは、リラックススペースとして利用している作り付けのコーナー。傍に積んである本は、デザインや建築関連のもの。
ここでは食事だけでなく家族みんなでテレビを鑑賞したり、読書や読み聞かせをしたりと、家族の団らんの場として機能しています。
写真右端に少しだけ写っている冷蔵庫には紙粘土で福笑いが楽しめるパーツや、冷蔵庫の斜め向かいの壁にはホワイトボードのお絵かきスペースがあったりと、子どもと一緒に遊べる工夫もたくさん。

ホワイトボードは壁に貼り付けるタイプのもの。上の娘さんが小さな頃から、奥様と一緒にお絵かきを楽しんできたのだそう。今は姉妹でお絵かきを楽しんでいます。「お絵かきが壁まではみ出すのが難点」ですが、はみ出したペンの筆跡からも子どもの成長と自由さがうかがえます。
2人のお子さんが小さい頃から愛用しているベビーチェア

スタイリッシュなデザインが印象的な赤いベビーチェアは、「ベビービョルン」のもの。今は1歳8か月の娘さんが使っていますが、上の娘さんがベビーの頃から愛用しているアイテムです。赤ちゃんが食事中に立ち上がりにくい設計になっていて、デザインだけでなく安全面にも配慮されています。
離乳食づくりに活躍したフードプロセッサー

便利な調理家電として、「BRAUN」のハンディフードプロセッサーをあげてくれた奥様。パーツの付け替えが可能なので、フードプロセッサーとして離乳食づくりに活躍している他、泡立て器としての使用などもできて日常の料理にも何かと便利なアイテムです。
写真以外にも、「BALMUDA」のトースターや「amadana」のウォーターサーバーも優秀なアイテムとしてピックアップしていただきました。いずれも、インテリアに調和するシンプルながらも上質なデザインが特徴のアイテムです。
たくさんの絵本を読み聞かせしています

スキップフロアの最上階にある寝室にはたくさんの絵本が、まるでレコードのようにディスプレイされています。お子さん自身で探しやすいよう工夫した結果、表紙が見えるように床に並べて置くスタイルの収納方法になりました。絵本を選ぶときには上の娘さんの通う幼稚園の選書がとても参考になっているそうで、毎週1冊ずつ好きな絵本を借りて寝る前にじっくり読み聞かせしています。それで気に入ったものは購入するのだとか。絵本の情報収集には雑誌やインターネットショッピングサイト、絵本情報サイトなども活用しています。
「昔からある絵本はやっぱり、時が経ってもいいと思える魅力がありますね」と話してくれましたが、必ずしも自分たちが子どもの頃に読んだことのある絵本を選んでいるわけではありません。絵本のストーリーを中心に、ご主人と奥様が「いい」と思うものを買い集めた結果、このボリュームになりました。
「子どもたちには、想像力のある人になってほしい」と語ってくれた奥様は、取材に伺った日も1歳8か月になる娘さんとしかけ絵本を楽しんでいました。
出産祝いの定番は絵本
奥様から友人に贈る出産祝いの定番となりつつあるのが、絵本『おかあさんのほん』(さとうわきこ作、偕成社/1975年)。
40年以上前の作品で現在は廃版なのですが、探し出しては贈っているおすすめの1冊です。
他の部屋にいても子どもたちの様子がわかるカメラを設置

寝室が最上階、ダイニング&キッチンが最下階とタテに部屋数の多い武久家。お子さんたちを先に寝かしつけたあとは、ダイニング&キッチンで団らんしていることが多いのだそう。寝室にカメラ、ダイニング&キッチンにベビーモニターを設置しています。
昼はカラー映像で、夜の消灯後など部屋が暗い時には赤外線を利用して白黒映像で確認できるので、お子さんたちのお昼寝や寝かしつけた後に目が覚めてしまったときにも安心。このカメラがあることで寝室の様子をリアルタイムで知ることができます。
子どもの後追い対策で取り付けたゲート

スキップフロア5階建ての武久家では、部屋と部屋の移動には階段の上り下りが必要。引っ越して来たばかりのころは下の娘さんが後追い期の真っ最中で、奥様が見ていないところで階段を上り下りしてケガをすることがないよう、「Lascal」のキディーガードを取り付けました。設置にはビス打ちが必要なので賃貸物件には不向きですが、スクリーン式で足元に段差ができないので階段とフロアの境に取り付けてもつまづく心配がなく、片手で操作できるところも気に入っているのだとか。
子どものアートがある生活


「夫婦揃ってアートが好きで、子どもの絵も好きなんです」と笑顔で話してくれた武久さん。家のあちこちにディスプレイされたアート作品の中には、週に1回造形教室に通っているという4歳の娘さんの作品も。
造形教室では、先生と一緒に子どもが「作りたい」と思ったものを作ることができます。先生をつとめるのは芸術系の大学に通う学生さんで、子どもが思い描いているモノをカタチにするための方法を教えてくれます。作るものも幅広く、絵や工作、粘土作品などバラエティ豊か。
ダイニングやリビングの棚や壁に娘さんの作品をディスプレイしてあり、とても気に入っていて毎回楽しみにしているのだとか。
子どものために手作りしたアイテム

家のあちこちにアートがある生活を送る武久家には、娘さんの作品だけでなく奥様の作品もたくさん。冷蔵庫には、紙粘土で作ったマグネット式の「福笑い」が。
上の娘さんがまだ幼い頃から一緒に遊んでいたもので、今では下の娘さんも少しづつ顔のパーツを認識しはじめて、「目」や「鼻」のパーツを使っていろいろな表情の顔を作っています。
長いこと愛用しているうちに失くしてしまったパーツもあるものの、子どもたちへの想いと思い出のつまったアイテムです。

ハロウィンの仮装グッズを姉妹分ハンドメイドしたり、ペルーはアンデスの民族楽器・チャフチャスをイメージしてピスタチオの殻で作ったりといろいろなアイテムをハンドメイドしています。
写真はハロウィンの仮装用に作ったワイヤーを入れた猫のしっぽ、猫耳カチューシャ、服や髪につけてファッションアイテムとして楽しんでいるニットの紐、誕生日のために古着の生地で作ったリボン。
気に入っているアイテムであっても友人に譲ることが多く、お子さんがベビーの時に愛用していた古い籐のゆりかごも布を張り替えて使用していたお気に入りでしたが、成長して使わなくなったことで人に譲ったのだそう。
はじめて作った子どものためのアイテムは今も愛用中

娘さんたちのアイテムをハンドメイドして楽しんでいる武久さんが一番はじめに「子どものために」と作ったのは、ブランケットでした。今は4歳半になる娘さんが生まれる前につくったもので、1歳8か月の娘さんも現役で愛用中のお気に入りです。
自転車に乗るときにひざ掛けとして利用したり、家の中でもマルチに使えるアイテムです。もともと2枚作ったもののうち、1枚は友人に譲ったのだとか。武久さんの周りでは、幼稚園のお友達のママつながりで中心に子どものものを譲ったりもらったりしているうちに、思い出のアイテムも手から手へ、アイテムを必要としている人の手元に渡るような循環ができあがっています。
シンプルながらもデザイン性の高いワードローブがお気に入り

下の娘さんの洋服で気に入っているのは、着物のようなデザインのカーディガン。ドイツの子ども服ブランド「macarons」のアイテムです。厳選したオーガニックの糸を使用しており、生地のテクスチャも独特。「サイドの紐を結んで着る服なので、70cmくらいのサイズ。なのに、もうすぐ2歳になる今でも着られて、まだしばらくサイズアウトせずに長く使えそうなところも気に入っています」とのこと。あたたかいニットパンツとコーディネートしてヘビーローテーション中です。
姉妹色違いの、ソックスのようなルームシューズはPapuschen(パプシェン)のもの。ドイツ語の「心地よいスリッパ」に由来する名前のとおり、足先からかかと・足首までホールドするデザインで、階段が多い武久家でも脱げにくい便利なアイテムです。
子どもが成長したことで、テクスチャに特徴のある服もよく着るように
娘さんが小さいうちは、服が汚れることが多かったので洗いやすさを重視して洋服を選んでいたという武久さん。娘さんが1歳を過ぎてから、服を汚すことも少なくなって着たので、この頃はニットなど素材がもこもこ・ふわふわしたものも着せるようになり、洋服選びの幅が広がりおしゃれがさらに楽しくなりました。
カレンデュラを使ったスキンケアを中心に愛用中

「乾燥肌なので、カレンデュラのスキンケアを娘たちと一緒にお風呂上がりに使っています」という奥様。使っているのは友人に購入してもらって愛用している市販では取り扱いのない化粧水や「WELEDA」のクリーム、「AMOMA(アモーマ)」のオイルなど。クリームは乾燥がはげしいと感じた時に塗っているのだとか。
カレンデュラは日本では「キンセンカ」や「ポットマリーゴールド」の名前で親しまれている花で、女性の肌荒れだけでなく子どものけが治療にも使われてきた、オールマイティーに効果のある植物です。
スキップフロアの賃貸住宅で暮らす武久さん。建築家の手による物件らしく、家のどの部屋にも空間を彩る窓が設置されていてそれぞれ異なる表情を見せていました。そんな空間に、ご夫婦の好きなアートやインテリア、お子さんの造形作品の存在が加わっています。
「見せる収納」が特徴的な武久家では、お子さんの作品はもちろん絵本やお気に入りのアイテムなどをディスプレイしながら収納しています。それでも家全体がすっきりしているのは、ひとつひとつのものを吟味して購入していることや、暮らしている物件とインテリアのいずれもが時を経た味わいを持ち、調和しているからではないでしょうか。
そんな、暮らす人のパーソナリティーや暮らし、お子さんたちの日常と成長が感じられる、いい意味で生活感のある武久家の生活やお気に入りのアイテムをご紹介しました。
Photograph by 根本健太郎