フードライター&エディターの浅野陽子です。日々焦ったり、戸惑いながらも3歳の娘を抱えて『Hug Life』真っ最中です。仕事で長らく食に関する取材を続けており、子育て中に役立つレシピや、女性が小さな子どもを連れてゆっくりできるレストランなど、食まわりの情報を中心にお届けします。
今回は、子育て中に多くのママが悩む、子どもの「好き嫌い」「食べず嫌い」を解決するレシピを紹介します。
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浅野陽子(あさのようこ)
フードライター&エディター。『dancyu』『おとなの週末』『ELLE a table』『日経レストラン』など料理専門誌に多数執筆し、“食”限定の取材歴19年。「海のエコラベル(MSC認証)」アンバサダー・公式ライターを務め、築地取材や魚レシピにも精通。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。2014年に長女を出産。ブログ『フードライター浅野陽子の美食の便利帖』を更新中。https://asanoyoko.com/
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市区町村の乳児健診では「好き嫌いを作らないよう親が努力を」と言われるけれど…

ママは体の休まらない授乳期間から、大人の食事とダブルで作る離乳食期を経て、1歳すぎて普通食へ突入。「食事は少しラクになる!」とほっとしたのもつかの間、言葉や動作がはっきりして、今度は好き嫌いや食わず嫌いに悩む…というのが、多くの人が経験する流れではないでしょうか。
市区町村の定期乳児検診では「好き嫌いを作らないよう親が努力を」「野菜も魚もまんべんなく食べさせて」と言われますが、子どもが嫌がったときどうするか、という具体策までなかなか教えてもらえません。
そこで、繁盛店のメニューやプロのレシピ取材も続けてきた筆者が、試行錯誤して見つけた「好き嫌い解決レシピ」を紹介します。まず、普通食の最初のハードル「野菜編」です。筆者の娘も、これで早いうちに野菜を自主的に食べるようになり、野菜嫌いを回避できました。
メソッド①「ソースちょんちょん」で自分から
ソースやたれとセットなら、前向きな「遊び食べ」をする

スプーンを出すとなんでも「あーん」と口を開けていた離乳食期から、普通食に切り替わった1歳半頃。娘はまず野菜を食べなくなりました。細かくしても、ゆでてやわらかくしても拒否。どうしたものだろう、と頭を抱えていたとき、ある日急に食べ出したのがこの「ソースちょんちょん」で食べるサラダです。
ゆでたアスパラやプチトマトなど、つまんで食べられるような野菜を、ソースやたれをつけながら自分で「ちょんちょん」と声に出し、おもしろがって積極的に食べるのです。
同じ野菜に、ドレッシングをかけたものでは手を出さず「ちょんちょんは〜?」と聞いてきました。「そうか、ソースを別添えにすれば食べるんだ!」と気づき、この法則(?)がわかってからは、ソースにもいろいろ工夫やバリエーションをつけました。野菜はゆでたブロッコリー、小さく切ったきゅうりも同じやり方で食べます。
すぐできて大人もおいしい、野菜の「つけソース」2種
・シーザー風マヨミルクソース
マヨネーズ・牛乳(または調整豆乳)各小さじ1、黒こしょうごく少々をよくまぜる。市販のシーザードレッシングよりマイルドな味で、塩分も薄まるのでおすすめです。
・レンジでしょうゆバターソース
しょうゆ大さじ1・砂糖小さじ2・バター10gを電子レンジ600wで溶けるまで30秒ほどかけ、よくまぜる。バターはできれば食塩不使用のものを。こだわり派のママは黒砂糖やてんさい糖を使っても。てりやき風味の甘じょっぱい味で、子どもに大人気です。
アスパラは「すじ」を取るのがポイント

野菜はできるだけ食べやすいよう、下処理をするのが子どもの「好き嫌い」を回避するポイントです。アスパラはすじが固いので、茎を1cmほど落とし、さらに下1/3くらいの外皮をピーラーでむきましょう。長さを半分か1/3に切り、沸騰湯で2分ゆでます。
メソッド②「干しぶどう」でまず引きつける
「野菜だけ」より断然食べようとする気持ちがわく

上のやり方でも、子どもがどうしても食べなかったのがにんじんとセロリです。しかし、これは甘い「干しぶどう」と組み合わせるとすぐ食べるようになりました。大人でもにんじん・セロリ嫌いが治る人もいるので、ぜひおためしください!
シンプルなドレッシングと干しぶどうで秒速サラダ
・セロリと干しぶどうのサラダ

セロリ1本分の、真ん中のやわらかい茎の部分だけを使います。(残りの部位は大人が食べたり、ミートソースに使ったり、カレー・スープなど煮込み料理のだしに使うとGood!)
アスパラ同様、最初にピーラーでざっと固いすじをむきましょう。その間、干しぶどう(大さじ1)をぬるま湯に数分浸けて、やわらかくします。

オリーブオイル大さじ1と1/2・市販のすし酢大さじ1をよくまぜ、セロリを薄い拍子切りにして、水気をふいた干しぶどうとともにボウルに入れてあえるだけです。
・にんじんと干しぶどうのサラダ

フレンチの家庭そうざい「キャロットラペ」のアレンジです。
セロリサラダと同じく、干しぶどう(大さじ1)をぬるま湯に浸けておき、にんじん1本の皮をむいてななめ薄切り→千切りにして、耐熱容器でラップし電子レンジ600wに30秒かけ、少ししんなりさせます(沸騰した湯で1分ほどゆでても。「ちょんちょんサラダ」のアスパラをゆでる同じ湯でも作れます!)。
にんじんと干しぶどうの水気を切って、オリーブオイル大さじ1・米酢大さじ1/2・粗塩ごくひとつまみと一緒にボウルでよくあえます。塩をしっかり効かせた方がおいしいのですが、子ども用には薄味にしたいので、調節してください。
盛り付けも楽しく演出

子ども用の割れないプラスチック食器でもいいのですが、たまには陶器のお皿に盛りつけてはいかがでしょう?実はこれ、ケーキ専門店で買うと一緒にもらえる、「プリン」や「シプースト」が入っていた無料のココットです。これなら、子どもが落として割っても惜しくない?!
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上のレシピは全部、大人もおいしく食べられます!お子さんと、できるところから野菜生活、はじめてみてください。うちの娘の場合、まだ難しいのがレタスやキャベツなどの葉物野菜ですが、ヨーグルトなど1歳では嫌いだったのに、3歳になって急に好きになった食べ物もいくつかあります。「親が焦らず少しずつ」、が好き嫌い回避のための第一歩だと思います。