「子どもの集中力・考える力を育む」と注目されているモンテッソーリ教育。

そんなモンテッソーリメソッドに基づく「あそびどうぐ」を提唱するStudio Figのおもちゃデザイナー・中村久子さんにお話をうかがいました。


モンテッソーリを知っていますか?

モンテッソーリ教育に興味を持っている方も多いかもしれません。

モンテッソーリ教育を生んだのは、イタリアの女性医師、マリア・モンテッソーリ(1870~1952年)。
彼女は、子どもは本来、成長していこうとする力をもっていて、適切な時期に適切な環境が与えられれば、自分で成長することを発見しました。
そして、さまざまな発達段階ごとに、自ら伸びようとしている子どもを手伝う教育法と、そのための教具(おもちゃではなく、教具と言います)を考えました。

子どもが自分で選び、同じことを集中して何度も繰り返してやり、満足して終える。
モンテッソーリは、このステップを踏みながら、「自分でできた」経験を積み重ねることを大切にしています。大人は、その環境を用意し、「自分でできる」ようにお手伝いするのです。


Studio Figの「あそびどうぐ」とは?

Studio Figのアートディレクター・中村久子さんは、いまから40年以上前にモンテッソーリ教育に出会い、玩具デザイナーとして、また家庭で子どもを育てる母親としてその思想に共鳴し、赤ちゃんが内に持つ生きる力は、「あそびどうぐ」によって引き出されるということに感動しました。

Studio Figは、「あそび」をこう考えています。
赤ちゃんが何かに手をのばし、つかみ、わらう。思わず、おとなも一緒にわらう。この共感が「あそび」の原点であり、そのきっかけになる「どうぐ」が「あそびどうぐ」。



「あそびどうぐは、親と子のコミュニケーションツールであり、親と子をつなぐ言葉のひとつだと私たちは考えています。ですから、親子が一緒に遊べて親も美しいと思うものでありたいし、大人も忘れかけていた五感体験を思い出し、赤ちゃんと一緒にふたたび五感が目覚めるようなものでありたい。そうして、お母さんが自信をもって赤ちゃんを育てていってほしいのです。

そのためにこだわったのが、四国・四万十で大切に育てられたヒノキで作ること。
爽やかな香り、ほんのりとあたたかい桜色の色あい、軽くてやわらかな手触り・・自然のエネルギーを伝え、五感を豊かに育む、本物の素材です。
香りや木目の手触りを大切にするために塗装もしていないので、赤ちゃんがなめたり、噛んだりしても安心です。」

モンテッソーリのメソッドを取り入れながら、独自に開発した「あそびどうぐ」を通して、赤ちゃんのための「安心と信頼を育む環境づくり」を提案しているStudio Fig。
自身の赤ちゃんにはもちろん、出産祝いや、誕生日、クリスマスなどのプレゼントにおすすめの5点を紹介していただきました。



<カタチ> どんな形? 手で触って5つのカタチを覚え五感をめざめさせて



モンテッソーリの「ひみつの袋」から企画

「モンテッソーリの教具のひとつに、「ひみつの袋」があります。手のひらの感覚と、立体識別感覚を養う素晴らしい教具の一つで、巾着袋の中にボタンや豆などを入れ、教師が「〇〇を取って」と言い、子どもが手探りで取り出す遊びです。

私たちは、40年前、袋の中に入れるものを木のカタチにすることを考え、モンテッソーリ教具「カタチ」として販売していました。Studio Figでは、当時の「カタチ」をアレンジして、1~2歳の赤ちゃんが家庭でママやパパと一緒に遊ぶ道具として新たに提案しました。」


同じカタチ、さがせるかな?

立方体、直方体、四角柱、三角柱、円柱。ヒノキの「カタチ」は全部で5つ。最初は2個からはじめましょう。
袋に2種類のカタチを入れ、1つ取りだし、「これと同じカタチ、さがせるかな?」と言って、赤ちゃんの手にのせて握らせます。

「袋にいれるね」と言って戻してから、赤ちゃんが袋に手を入れ、同じカタチをさがします。
手のひらの感覚が発達する時期にぴったりの遊びです。同じカタチを袋から探し出したら、「よくわかったね。すごい!」と一緒に喜びましょう。

こうしてカタチを3個、4個と増やしていきます。ソラマメ、どんぐり、ミニカー、鈴などを混ぜても楽しいですし、いままでなかったものを「これ、なんだろう?」と考えながら触って確かめることで、立体識別感覚が磨かれていきます。なれてきたら名前も教えてあげましょう。



<動物たち> かわいい動物たちはママとのお話も弾む大切なおともだち



ママが語りかけると大喜び

「どこかユーモラスで愛くるしい動物が10種類。
四万十の木工職人が1つ1つ、丁寧につくった、赤ちゃんのおともだちです。

小さな赤ちゃんとどんなふうに遊べばいいかしら? 戸惑う新米ママも多いかもしれません。でも、大丈夫。この動物さんを使って「こんにちは」と語りかけるだけでも、あそびは始まります。」

ヒノキの木目も美しい「動物」は、赤ちゃんが興味をもって手を伸ばし、なめたり、つかんだり、触って遊ぶのはもちろん、赤ちゃんに自然な語りかけができ、赤ちゃんとママのコミュニケーションに最適です。

オムツコーナーでも大活躍

小さなころは、ママが動物になりきって、赤ちゃんにお話しをつくってあげましょう。大きくなると、自分でストーリーをつくり、ママに見せてくれます。

オムツコーナーに置いておき、オムツ替えのときに渡すと、なめたりかじったり。「集中するので、その間にサッとオムツ替えできます」というママも多く、育児にも大活躍してくれます。

おでかけに、寝かしつけに、お風呂に入れるときにも・・・。お気に入りと一緒だと安心しますし、愛着のある動物さんたちが赤ちゃんの安心と信頼を育んでくれることでしょう。



<はじめての1>手、腕、脚・・全身を使って数を感覚でとらえ数学的感性を育む



遊びながら抽象的な概念を認識

「はじめての1は、1~9の数を感覚的にとらえることができるようにと作りました。
手だけでなく、腕や全身を大きく使って遊ぶ、軽くておおらかなヒノキのブロックです。

ひとつ、ふたつと、大きさや長さの違うブロックを並べたり積み上げていくうちに、「大きい・小さい」をはじめ、「重い・軽い、高い・低い、長い・短い」という抽象的な概念を認識できるようになります。
数というと数字や計算を思い浮かべますが、モンテッソーリ教育では、こうした数量や質感を、整然とものが並ぶ様子から数の世界を感覚でとらえるのです。」

ダイナミックに体を動かす

一番大きなブロックは120mm立方。ヒノキは感触もやわらかく軽いとはいえ、子どもがこれだけの大きさのかたまりを持つには、両手で、しかも全身を使わないといけません。また、大きいものから小さいものへと積み上げていくと、小さな子どもの身長ほどの高さになります。

自分より大きなものを作れるなんて、ワクワクすると思いませんか? 立ったり座ったり、立ち上がって両手を伸ばして、もっと上へと乗せたり。全身運動を促すことも目的であり、ヒノキのブロックだからできる醍醐味です。

そっと積む、やわらかい手

まず、お母さんが、1つ1つ、ゆっくり、そっと積んでみせましょう。すると赤ちゃんも同じように、そっと積もうと頑張ります。
実は、この「そっと」が、とても大切。モンテッソーリでは「やわらかい手」と言って、手の動きの洗練のための重要な要素とされています。

乱暴に積んだら崩れるけれど、丁寧にそっと積めば崩れない・・・そう遊びながら知り、微妙な力のコントロールや手首の動かし方を練習していきます。



<ゆれる三角> 五感の第一の感覚、視覚の発達をモビールがお手伝い


キットで楽しく手づくり
「モビールは、生後40日くらい、動くものを目で追うようになる頃、視点を合わせるために吊り下げる、最初のおもちゃです。「ゆれる三角」は、お母さんに手づくりを楽しんでほしくてキットにしました。

ヒノキの三角フレーム、三角の木(紙)、鈴やクリスタル、ビーズ付き糸、ワッシャーがセットになっていて、作り方はとっても簡単。三角の紙には折れ線や両面テープがついているので、誰でもきれいに作れて、あとは三角フレームにバランスよく結ぶだけで完成です。」

[写真左]the first step [写真中央]Little by Little [写真右]the little lady

基本色は、赤ちゃんの発達の段階に応じて3種類あります。視力が未発達で、明暗のはっきりした白黒しか見えない生後間もなくはモノトーン、赤・黄・緑なども認識できるようになる3~4カ月頃はカラフル、そして、赤ちゃんらしく、お部屋の雰囲気がやさしくなるペールカラー。

オーナメントは自由にアレンジ

どのタイプも、自由にアレンジを楽しんでください。例えばモノトーンの三角錐に黒い丸や太い線を描くと赤ちゃんは興味をもって目で追いかけますし、2カ月を過ぎて腕が動くようになったら、リボンや毛糸など、手を伸ばして触ってみたくなる素材を加えてもいいですね。

ねんねの時期を過ぎたら、全部外して、赤ちゃんのお気に入りや季節のアイテムを吊るすのもおすすめです。吊り下げる場所も、窓辺やリビングの壁など、どこでも大丈夫です。
春はお花、夏はグリーン、秋なら落ち葉や木の実・・・七夕、ハロウィン、クリスマスなどの飾りつけも・・・。季節ごとにアイテムを変えるのはインテリアとしても楽しく、赤ちゃんの感性を豊かにします。」

なにより、赤ちゃんのために作るんだと思うと、お母さんは幸せな気持ちになります。これから出産される方へのプレゼントにもおすすめです。手を動かして集中することで、出産や育児への不安を忘れ、前向きな気持ちになってもらえたらいいですね。
また、キットや材料を持ち寄り、お友達が集まって、みんなで作るのも楽しいと思います。



<いたくみき> 想像のイメージを立体にし創造性を高め知的発育を促す


[写真左]車[写真右]お家

いろいろなものの出来上がり!

「いたくみきは、ヒノキの板のパーツを組んで立体にしていく「あそびどうぐ」です。
板にある切り込みをかみあわせ、自由に組み立てましょう。家、車、電車、飛行機・・・子どもの想像する力によって、いろいろなものが出来上がります。

「いたくみき」は、大人も夢中になり、とくに理系のパパに人気があります。子どもとどうやって遊んでいいかわからないパパにもぜひどうぞ。「パパ、すごい!」と、尊敬のまなざしが返ってきますよ。

大人でも少し難しい「いたくみき」は、2歳以上の子どもにとっても簡単ではありません。でも、それだけに集中しますし、指先・手首の運動になります。そして、なんといっても赤ちゃんや子どもたちには、想像力という素晴らしい能力があります。」

集中力や、計画的に考える練習も

「たとえば、1つのパーツに丸いパーツをつけると、「クルマのできあがり!」これだけでも、車をつくるというイメージが最初にあり、そのイメージに向かって、車体と動くタイヤを組み合わせたのです。

同じ車でも、トラックやトレーラーなどの働く車になったり、次第にイメージが発展していき、形はより立体的、構造的になっていきます。そして、完成したいイメージに向け、この組み木をどこにどう使い、どんな順番でやるか、プロセスを考え始めます。

パーツを組んで立体を作りあげることには、物事を順序だて、計画的に行う要素も入っています。想像力を働かせながら、創造的な力を促すと同時に、計画性をもって目的のものを構成していく練習にもなります。

イメージ通りに完成したときの表情は、とても輝いています。他の「あそびどうぐ」同様、「上手にできたね!」と、一緒に喜びあいましょう!」


「あそびどうぐ」を通して 子供の成長をお手伝い



子供が生まれながらに持つ、成長し発達しようとする力を引き出すモンテッソーリ・メソッドを取り入れたStudio Figの「あそびどうぐ」。
赤ちゃんと楽しく遊びながら、様々な感覚の成長をお手伝いしてあげましょう。

 

Studio Fig

https://www.stampingrounds.co.jp/studiofig

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