
好きな物事がはっきりし、子どもながらに「個性」が確立されてくる3歳。その個性は、それまでに脳が強く受けた「刺激」によって決まると言われています。
言葉の世界もますます豊かになってきます。想像力、集中力がついているので、少し長めの物語絵本や、ファンタジー要素の絵本でも大丈夫。絵本のチョイスは子どもの興味によってきっと様々になってくることでしょう。子どもの興味ある分野をたっぷりと広げてあげてください。
今回、しかけ絵本を製作している出版社にご協力いただき、「好奇心」と「感性」を刺激するという視点でおすすめを教えていただきました。
そこからさらに5つのしかけ絵本を年齢別にピックアップしました。しかけ絵本と出会うきっかけにしていただけたら幸いです。
しかけ絵本とは?
本を開くと飛びだしたり、触ると音が出たり、ひっぱったりめくったり…が楽しいしかけ絵本。
自分のアクションに対して得られる「驚き」「感動」の感情は、学びに必要な「もっとやってみたい」という動機と集中力を育てます。
また、しかけ絵本での「めくる・つまむ・ひっぱる・さわる」という動作は手や指を多く使います。
指は使えば使うほど脳に刺激が与えられ、脳の働きが活性化するため、「知育」に効果があると言われています。
【3歳】「3つ子の魂、百まで」の仕上げ期。絵本も興味に応じて見守ることが脳の発達のポイント
「3つ子の魂、百まで」という言葉があります。「3歳ごろまでに受けた教育で形成された性質・性格は、100歳になっても根底は変わらない」という意味です。
脳の神経細胞の発達は、生後3歳くらいまでの期間に急速に発達し、3歳くらいで脳内神経細胞のおよそ80%が完成されると言われています。
この頃までに脳神経に強く受けた刺激の配線が残り、「性格形成の原点」と言われます。
3歳にもなると、好き嫌いがはっきりし、それぞれの子どもの個性が確立してきます。自分を強く押し出す時期ですが、同時に人の気持ちが分かり、周りとのコミュニケーション能力がぐんと高まる時でもあります。
運動神経も発達し、三輪車を乗りこなせるようになり、片足立ちやつま先立ちができるようにもなります。ボタンかけや、食事・トイレなども自分でできるようになります。
語彙は1500語と一気に増え、おしゃべりも達者に。赤ちゃん期には視覚や聴覚にうったえる絵本を好んでいましたが、3歳頃になると主人公の行動やストーリーを追えるようになります。少し長めの物語絵本や、想像力を使うファンタジー要素のある絵本も集中して楽しめるようになります。
とは言え、子どもによっては物語には興味を示さず、写真のきれいな図鑑などに夢中になる子もいるでしょう。それも一つの個性。子どもの好奇心の芽を見つけて見守り、思う存分伸ばしてあげることが、脳神経の刺激と発達につながるでしょう。
そんな中、しかけ絵本の魅力といえば、それ自体が一つの「新しい世界」を体験させてくれること。手先も十分に器用な3歳は、しかけを壊すことなく、どんなしかけも目を輝かせて取り組めることでしょう。いろいろなタイプの絵本との出会いを楽しんでください。
3歳向け しかけ絵本を選ぶポイント
○ ストーリー性がある絵本
○ ファンタジー要素のある絵本
○ それ自体が「新しい体験」となる面白いテーマの絵本
絵本紹介
「どんどこどんどん たいこのえほん」

え/ダニー・チャトスィコンスタンティヌ
訳編者/みた かよこ
出版社/大日本絵画
価格/¥1,900+税
目をさました森のこざるくんが、どんどこどんどん、というたいこの音を聞きました。音をだしたのがだれなのか、森のなかまにきいてまわります。お話を読んだあとは、じぶんでたいこをたたいて遊べます。たいこの絵を押すと4種類のたいこの音と6曲のメロディがながれます。
http://www.kaiga.co.jp/products/detail.php?product_id=7513
「ポカポカフレンズ めくる」

監修/わだ ことみ
イラスト/さつき ねむ
出版社/三起商行(ミキハウス)
価格/¥ 3,000+税
めくるしかけが300種類以上なので、これ一冊で「あいさつ」などのしつけや、「かたち」「いろ」などの知育、「ひらがな」「アルファベット」などの基礎を、楽しみながら学べます。まさに最強の“めくる”しかけえほん!
「とぶえほん ほっきょくからみなみのしまへ」

出版社/いろは出版
価格/¥1,500+税
とにかく新しい!ところがおすすめの理由です。まず、鳥のかたちの絵本はほかにないですし、内容は、「鳥目線の世界の景色」となっています。しかも、「ミッションカード」の付録つき。鳥目線の景色のなかから、ミッションに書かれた絵を探して遊べます。空柄の可愛い箱パッケージなので、ギフトにもおすすめの1冊となっています。
「サンドイッチいただきます」

作/岡村 志満子
出版社/ポプラ社
価格/¥950+税
本当にサンドイッチを作っているような気になる、「美味しい」絵本です。
パンにバターをぬって、レタス、ハム、チーズをかさねて…と1枚ずつページをめくっていくと、あらあら、美味しそうなサンドイッチができあがり!大きなお口で「あむっ!」と食べたつもりになってみてくださいね。
お料理に興味が出てきたとき、この絵本でサンドイッチの作り方を覚えて、親子で一緒に作ってみても楽しいですね!
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/2084004.html
「くもさんおへんじどうしたの」

作/エリック・カール
訳/もりひさし
出版社/偕成社
価格/¥2,400+税
「はらぺこあおむし」の作者エリック・カールの作品には、しかけが楽しい絵本がいくつもあります。こちらの絵本は、農場の馬や牛、おんどりなどいろいろな動物が遊びに誘っても、巣作りに夢中でお返事をしないくもさんのお話です。
くもさんが作るくもの巣が「浮き出る」しかけになっているのがこの本のユニークなポイント。触ってくもの巣の形態を知ることができます。めくっていく度に少しずつくもの巣ができていく美しい過程に子どもは目を見張ることでしょう。
https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784033282701
いかがでしたか?ユニークなしかけ絵本をいくつか紹介しましたが、いざ読んでみると子どもによって好みは様々なことでしょう。
お料理が好きな子、冒険が好きな子、はたまた何か一つのことにじっくり取り組むことが好きな子…絵本との出会いが、子どもの個性にも出会える機会となったら素敵ですね。
しかけ絵本には、大人も楽しめるような趣向を凝らしたものもたくさんあります。驚きと感動に満ちたしかけ絵本の世界、ぜひ深めてみてください。